省エネ性能を評価する手続きとは?主要な手続きとメリット・デメリットを省エネ判定員が解説

  • 2023年9月3日
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建築物の省エネ性能を評価する手続きには、

多くの種類が存在します。

 

中には、税制優遇や補助金など、

金銭面でのメリットを得られる手続きも存在します。

 

この記事を読むと、以下の内容について、理解することができます。

  • 省エネ性能を評価する手続きにはどのようなものが存在するのか
  • その手続きは必要なのか、任意で行うものなのか
  • 手続きをすることによるメリット・デメリットはあるのか

各手続きの特徴とメリット・デメリットを押さえて、

顧客のニーズに応じて使い分けましょう。

省エネ性能を評価する主な手続き

建築物の省エネ性能を評価する主な手続きは、以下の表のとおりです。

  • 住宅性能評価
  • フラット35
  • 長期優良住宅
  • BELS
  • 省エネ適合性判定

それぞれの手続きについて、解説していきます。

住宅性能評価(対称:住宅)

出展:一般社団法人 住宅性能評価・表示協会「新築住宅の住宅性能表示制度について」

新築住宅の場合 | 一般社団法人 住宅性能評価・表示協会 (hyoukakyoukai.or.jp)

住宅の性能を10の項目に分けて、評価をする任意の制度です。

評価を受けることができる項目は、以下のとおりです。

  • 構造の安全性
  • 火災時の安全性
  • 劣化対策
  • 維持管理更新への配慮
  • 温熱環境(外皮性能・一次エネルギー消費性能といった省エネ性能)
  • 空気環境
  • 光・視環境(採光の確保)
  • 音環境
  • 高齢者等への配慮
  • 防犯

図面審査により住宅の性能を評価する設計住宅性能評価と、

工事された住宅の性能を検査により評価する建設住宅性能評価の

2つの手続きに分類され、それぞれの手続きにおいて、

「設計住宅性能評価書」「建設住宅性能評価書」を受け取れます。

メリット

  • 住宅の様々な性能を等級により可視化できる
  • 構造の安全性が高い住宅(耐震等級2や3)は地震保険の割引を受けられる
  • 温熱環境(省エネ性能)が良好な住宅に対して補助金が交付される制度がある

構造の安全性(耐震等級)や、

温熱環境(省エネ性能)を、高めることにより、

保険料の割引や補助金を受けることができる点が、

主なメリットとなります。

デメリット

  • 評価を受けるための設計や申請の費用がかかる
  • 審査項目が多く、設計や準備に手間を要する
  • 設計評価が完了しないと工事に着手できない

実務者の立場から見ると、

手間がかかることが大きなデメリットとなります。

 

少なくとも、構造の安全性、劣化対策、

維持管理更新への配慮、温熱環境(省エネ性能)、

の4つの項目について、評価する必要があるため、

準備に係る時間は、手続きの中でも特に多いです。

フラット35(対称:住宅)

出典:住宅金融支援機構「【フラット35】技術基準・検査ガイドブック」

100509214.pdf (flat35.com)

住宅ローンの金利を35年間固定できる任意の制度です。

金利の固定を受けるための基準は、以下のとおりです。

  • 基準項目(接道、住宅の規模、居住室の数、戸建型式)
  • 断熱性能(断熱等性能等級4以上)
  • エネルギー消費性能(一次エネルギー消費量等級4以上)
  • 住宅の構造(耐火構造又は耐久性基準)
  • 配管設備の点検措置(点検口などの設置)

 

手続きの流れは以下のとおりです。

  • 工事を始める前の図面審査
  • 工事中の中間検査
  • 工事完了時点の竣工検査

これらの手続きを経て、金利の固定を受けることができます。

メリット

  • 金利が上がる心配がない
  • お金を借りやすい

デメリット

  • 市場金利が下がっても金利が変わらない
  • 変動金利に比べて、契約当初の金利が高い可能性がある

 

また、通常プランよりさらに金利を低くできる

「フラット35S」というプランもあります。

例えば、省エネ性能による場合、

以下のような性能が必要となります。

  • 断熱性能(断熱等性能等級5以上)
  • エネルギー消費性能(一次エネルギー消費量等級5以上)

この他、ZEH水準の性能を持たせたり、

耐震性能を向上させるなど、

金利を低くするためのプランが複数存在します。

長期優良住宅(対称:住宅)

出典:一般社団法人住宅性能評価・表示協会「認定制度概要パンフレット(新築版)」

2301_[新築]ブルー (mlit.go.jp)

金利優遇を受けたり、税制優遇を受けることができる任意の制度です。

 

外皮の性能の他、エネルギーの消費性能の他、

構造耐力、耐久性、維持管理のしやすさについて、

基準が定められています。

 

図面の審査により長期優良住宅であることの

認定を受けることができます。

認定を受けた住宅は、維持保全の状況について記録を作成し、

保存することが求められます。

メリット

  • 住宅ローンの金利を引き下げることができる
  • 所得税を引き下げることができる
  • 地震保険の割引きを受けることができる

デメリット

  • 省エネ性能の他、構造や耐久性に関する基準があり、設計や準備に費用を要する
  • 手続きが完了しないと、工事に着手できない
  • 維持保全の状況について記録を作成しなければならない

維持保全の記録を作成しなければならないことが、

他の手続きと最も異なる点となります。

BELS(べるす、対称:住宅・非住宅)

出典:一般社団法人 住宅性能評価・表示協会「建築物省エネルギー性能表示制度とは」

建築物省エネルギー性能表示制度とは | 建築物省エネルギー性能表示制度について | 一般社団法人 住宅性能評価・表示協会 (hyoukakyoukai.or.jp)

建築物のエネルギーの消費性能を評価書により

可視化することができる任意の制度です。

図面や計算書の審査により、建築物のエネルギー消費性能を評価します。

メリット

  • 建築物の省エネ性能を可視化できる
  • 「ZEH(ぜっち)」や「ZEB(ぜぶ)」であることを示すことができる
  • 工事を着手した建物や、完成した建物を評価することができる

デメリット

  • 金利や税制優遇を受けることはできない

「ZEH(ぜっち)」や「ZEB(ぜぶ)」とは、

年間のエネルギーの収支をゼロにすることを目指した

建築物のことを指します。

 

ZEHやZEBの基準を満たす建築物は、

さまざまな補助制度の対象となります。

 

都道府県や各種団体が運営する、

ZEHやZEBの計画に対する補助事業も、多く存在します。

これらの補助金を受けるために、BELS評価書が必要になるケースが多いです。

省エネ適合性判定(対称:2023現在は非住宅)

現在、中規模以上(300㎡以上)の非住宅建築物に対し、

義務付けられている手続きです。

 

国が定める基準値より、

計画する建物のエネルギー消費量が、

基準値より少ないことを、

図面と計算書により審査をします。

メリット

  • 計算書をBELS等の手続きに活用することができる

デメリット

  • 手続きが完了しないと、工事に着手できない

手続き完了を示す「省エネ適合判定通知書」がないと、

確認済証が交付されないため、

省エネ適判の手続きが完了しないと、

工事に着手できないことになります。

 

2024年には、大規模(2,000㎡以上)の非住宅の基準が引上げになること、

2025年には、小規模(300㎡未満)の非住宅建築物と全ての住宅が、

省エネ適判の対象となることが予定されています。

(一部、省エネ適判の対象とならない例外もあります。)

まとめ

省エネ性能を評価する手続きについて紹介しました。

要点は以下のとおりです。

  • 省エネ適合性判定は義務制度、他の手続きは任意の制度
  • 長期優良住宅など、手続きが完了しないと工事に着手できないものがある
  • 金利優遇を受けたいなら長期優良住宅がお勧め
  • 金利固定を受けたいならフラット35がお勧め

各手続きの特徴とメリット・デメリットを押さえて、

顧客のニーズに応じて使い分けましょう。

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以下の料金【※一例】で、省エネ計算を承ります。

  • 戸建住宅(外皮計算・一次エネ計算):6万円~
  • 共同住宅(外皮計算):5万円~
  • 非住宅(工場・倉庫):4万円~ ※モデル建物法、規模により変動
  • 非住宅(事務所・物販店舗等):6万円~ ※モデル建物法、規模により変動
  • 非住宅(病院・福祉施設等):7万円~ ※モデル建物法、規模により変動

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