住宅の省エネ計算に用いる3つの室区分とは?省エネ判定員が解説

住宅のエネルギー消費量を計算するにあたり、

住宅の内部にある室を3つの区分に分類することが求められます。

室の区分入力画面

出典:エネルギー消費性能計算プログラム住宅版

https://house.app.lowenergy.jp/

これらの室区分は、空調設備や照明設備のエネルギー消費性能に影響を及ぼします。

そのため、申請手続き上で審査機関からの指摘も多い項目となります。

 

この記事を読むと、3つの室区分とその判定方法を知ることができます。

室区分をマスターして審査機関からの指摘が少ない省エネ計算を実現しましょう。

 

一次エネルギー消費量について知りたい方は、こちらの記事でご確認いただけます。

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一次エネルギーとは

住宅の3つの室区分

住宅の省エネ計算をする際の3つの室区分は、以下の表のとおりです。

分類 該当する部分
主たる居室 「主たる居室(リビング、ダイニング、キッチン)」の部分の床面積。

住宅内に複数のリビング、ダイニング、キッチンがある場合は、それらの床面積の合計。

その他の居室 洋室、寝室、和室、子供部屋など、「主たる居室」以外の居室の床面積。

住宅内に複数の洋室、寝室、和室、子供部屋がある場合は、それらの床面積の合計。

非居室 玄関、廊下、トイレ、洗面、浴室、収納など、「主たる居室」と「その他の居室」以外の室の床面積。

住宅内に複数の非居室がある場合は、それらの床面積の合計。

合計 「主たる居室」「その他の居室」「非居室」の床面積の合計。

後述の注意点(ルール)により、住宅の延べ床面積と異なる値になる可能性もある。

床面積の算定方法は、壁芯間の寸法で算定します。

一般的な取り扱いである”躯体の中心線”が壁芯に該当しないなど、

所管行政庁によって異なる可能性もあります。

その場合は、所管行政庁の取り扱いに従って面積を算定することになります。

室区分を判断する際の注意点(ルール)

3つの室区分を判断する際、いくつかの注意点(ルール)存在します。

ルールは主に4種類あります。

  • 熱的境界の外側にある風除室・サンルーム・収納など
  • 出窓
  • 小屋裏収納・床下収納
  • 仮想床の発生する吹抜け
  • 室が仕切られていない場合の扱い

具体的なルールの内容について、ご説明いたします。

熱的境界の外側にある風除室・サンルーム・収納など

熱的境界の外となる風除室やサンルームの床面積は、3つの室区分には含まれません。

熱的境界というのは、断熱材が充填されている外壁のように、

熱環境の観点で屋内と屋外を仕切っている部分を指します。

居室に面する部分が熱的境界になっている収納や車庫も同様、3つの室区分には含まれません。

 

例えば、下図のような住宅が存在する場合、

サンルームと車庫は3つの室区分の床面積には算入されません。

熱的境界の外側にある車庫

出窓

以下の条件を満たす腰出窓の面積は、3つの室区分には含まれません。

  • 外壁面からの突出寸法が500㎜未満
  • 下端の床面からの高さが300㎜以上

出窓の取扱いについては、所管行政庁によって異なる場合もあります。

事前に相談されることをお勧めします。

小屋裏収納・床下収納

熱的境界の内側にある小屋裏収納・床下収納の内、

建築基準法上で定める延べ面積に算入されないものの面積は、

3つの室区分には含まれません。

これに該当する小屋裏収納・床下収納の一般的な扱いは以下のとおりです。

  • 最高天井高さが1.4m以下
  • 収納部分の床面積が従属する階の床面積の1/2以下(1階床下収納の場合、その部分の床面積が1階床面積の1/2以下)

こちらについても、所管行政庁により異なる運用をしている場合があります。

事前に相談することをお勧めします。

仮想床の発生する吹抜け

天井の高さが4.2m以上の部屋や吹抜けがある場合、

「仮想床」があるものとみなし、3つの室区分の床面積に加えます。

以下の図が仮想床のイメージとなります。

仮想床のイメージ

仮想床は、高さ2.1m毎に設定するルールとなっています。

  • 吹抜け等の天井高さが4.2m以上・・・高さ2.1mの部分に仮想床が発生
  • 吹抜け等の天井高さが6.3m以上・・・高さ2.1m及び4.2mの部分に仮想床が発生

また、階段の上部については、上階に床があるものとして3つの室区分の床面積に含みます。

部屋が仕切られていない場合の扱い

複数の室が間仕切り・ドアで仕切られていない場合、

それらの室を1室として室区分の判定をします。

そのため、「用途が収納であっても主たる居室に含まれる」

ような扱いとなる可能性があります。

 

例えば、以下のような事例があげられます。

  1. LDKと間仕切り・建具で仕切られていない和室
  2. 寝室と間仕切り・建具で仕切られていない収納
  3. LDKと吹抜けを通じて一体となる2階廊下

3つの室区分を決める上では、

“間仕切り・建具で仕切られている部分”を1室として判定します。

 

前述の事例において、間仕切り・建具で仕切られている部分に、

複数の室区分に該当する部分が存在することになります。

このような場合における優先順位は以下の通りです。

  • 「主たる居室」>「その他の居室」>「非居室」

 

先ほどの事例にこの優先順位を当てはめると、室区分は以下の通りとなります。

  1. LDKと間仕切り・建具で仕切られていない和室・・・LDKと和室は「主たる居室」
  2. 寝室と間仕切り・建具で仕切られていない収納・・・寝室と収納は「その他の居室」
  3. LDKと吹抜けを通じて一体となる2階廊下・・・・・LDKと廊下は「主たる居室」

このルールは、前述の他のルールと併用で適用されることも多いです。

重要なルールとなります。省エネ計算の際は必ずこのルールを押さえておきましょう。

ケーススタディ

室区分を判断する際の注意点を踏まえた面積の算定方法の例を示します。

以下の図をご覧ください。

室区分のケーススタディ

まずは、間仕切り・建具で仕切られている部分を整理します。

  • 階段の上部は上階に床があるものとする
  • 吹抜けの天井高さが5.0mのため、仮想床が1層発生する
  • 車庫は熱的境界の外側にあるため、3つの室区分には含まれない

以上の条件を踏まえると、各部分の面積と室区分は以下の通りとなります。

  • 玄関・各階ホール・階段・・53.00 ㎡(非居室)
  • 洗面・浴室・・・・・・・・10.00 ㎡(非居室)
  • 1階WC・・・・・・・・・ 5.00 ㎡(非居室)
  • LDK・吹抜け・・・・・・・60.00 ㎡(主たる居室)
  • 2階WC・・・・・・・・・ 5.00 ㎡(非居室)
  • 寝室・収納・・・・・・・・25.00 ㎡(その他の居室)

これらの部分を室区分別で面積をまとめると、以下の通りとなります。

  1. 主たる居室・・・・ 60.00 ㎡
  2. その他の居室・・・ 25.00 ㎡
  3. 非居室・・・・・・ 73.00 ㎡
  4. 合計・・・・・・・158.00 ㎡

室区分を判定する際のルールを押さえることで、

このような流れで省エネ計算に必要な室区分を判定することができます。

まとめ

今回は、住宅の省エネ計算に用いる3つの室区分について解説しました。

  • 室区分は「主たる居室」「その他の居室」「非居室」の3つがある
  • 熱的境界の外側にある車庫や所定の条件を満たす小屋裏収納などは、3つの室区分に算入されない
  • 天井高さ4.2m以上の吹抜けがある場合、床面からの高さ2.1mの部分に仮想床が発生する
  • 間仕切り・建具で仕切られている部分は、1室として室区分を判断する

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  • 戸建住宅(外皮計算・一次エネ計算):6万円~
  • 共同住宅(外皮計算):5万円~
  • 非住宅(工場・倉庫):4万円~ ※モデル建物法、規模により変動
  • 非住宅(事務所・物販店舗等):6万円~ ※モデル建物法、規模により変動
  • 非住宅(病院・福祉施設等):7万円~ ※モデル建物法、規模により変動

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次回は、非住宅で評価対象となる給湯設備とその能力値について解説します。

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住宅の省エネ計算における3つの室区分
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