非空調コア部の算定方法は?ケーススタディで省エネ判定員が解説

非住宅の省エネ計算において、「モデル建物法」は最も活用されている計算方法です。

このモデル建物法を活用した省エネ計算において、

つまづきやすいポイントが「非空調コア部」となります。

 

この記事を読むと以下の内容を知ることができます。

  • 計算書に入力する項目
  • 非空調コア部の算定方法
  • 算定における要点

非空調コア部の算定をマスターして省エネ計算を円滑に進めましょう。

 

非空調コア部については、こちらの記事でもご確認いただけます。

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非空調コア部のおさらい

非空調コア部とは、「各階で平面上の同一位置にある非空調部分」を指します。

非空調コア部を算定する階

非空調コア部の評価に際して重要な要素となります。

「高い開放性を有する部分」を除いた床面積が最大となる階が、

非空調コア部を算定する階となります。

ここでいう、「高い開放性を有する部分」の条件は以下のとおりです。

  • 常時外気に開放された部分を有していること
  • 開放された部分の面積がその部分の床面積の1/20以上あること

例えば、開放性を有するバルコニー等が「高い開放性を有する部分」に該当します。

先ほどの図の場合、高い開放性を有する部分を除く床面積が、各階で同じ値のため、

どの階でも非空調コア部を算定できるルールとなります。

実務上における非空調コア部の算定

先ほどの図では、非空調コア部を簡単にイメージしやすいですが、

実務上は分かりづらいケースが多くあります。

ケーススタディを通じて、複雑なケースにも対応していきましょう。

非空調コア部の評価項目

出典:非住宅建築物に関する省エネルギー基準に準拠したプログラム「モデル建物法 入力マニュアル」

modelv3_manual_20240401.pdf (lowenergy.jp)

非空調コア部に関連して、モデル建物法で評価する項目は以下のとおりです。

  • 非空調コア部の方位
  • 非空調コア部の長さ

非空調コア部の方位

算定する階における非空調コア部の方位を入力します。

その階における非空調コア部の外壁面積を方位別で算定し、

最も外壁面積の大きい方位が「非空調コア部の方位」となります。

非空調コア部の長さ

算定する階における非空調コア部の長さを入力します。

非空調コア部の方位の算定方法とは、異なる点があります。

その階における全ての方位の非空調コア部の長さの合計値が「非空調コア部の長さ」となります。

ケーススタディ1

上図の場合における非空調コア部の方位と長さを考えてみましょう。

なお、建物はすべての部分が事務所モデルとします。

非空調コア部を算定する階

高い開放性を有する部分を除く床面積は、以下のとおりです。

  • 1階:800㎡
  • 2階:1000㎡

このため、非空調コア部を算定する階は「2階」となります。

算定階における非空調コア部

「各階で平面上の同一位置にある非空調部分」である非空調コア部を、算定階である2階で確認します。

2階における非空調コア部は以下の図の通りです。

青枠部分の2か所が、非空調コア部となります。

非空調コア部の方位

先ほどの図より、非空調コア部の方位を確認します。

階高はすべての部分で同一であるため、

2階において、非空調コア部の長さを方位別で算定することで方位を確認できます。

  • 北面:8m
  • 西面:5m
  • 南面:3m

このため、非空調コア部の方位は「北」となります。

非空調コア部の長さ

先ほどの図より、非空調コア部の長さを確認します。

2階において、すべの方位の非空調コア部の長さ合計すると長さを確認できます。

  • 北面:8m
  • 西面:5m
  • 南面:3m

このため、非空調コア部の長さは「16m」となります。

ケースススタディ2

ケーススタディ1と異なる点は、1階に小規模物販モデルが含まれていることです。

上図の場合における事務所モデルにおける非空調コア部の方位と長さを考えてみましょう。

非空調コア部を算定する階

高い開放性を有する部分を除く床面積は、以下のとおりです。

  • 1階:800㎡
  • 2階:1000㎡

このため、非空調コア部を算定する階は「2階」となります。

算定階における非空調コア部

「各階で平面上の同一位置にある非空調部分」である非空調コア部を、算定階である2階で確認します。

複数のモデル建物がある場合の非空調コア部の算定方法は、モデル建物法入力マニュアルに記載されています。

同一の建築物用途に属する部分が複数箇所に点在する場合(水平方向、垂直方向とも)については、当該建築物用途以外の部分が空間的に存在しないと想定して、次のように入力を行う。

非空調コア部についても、当該建築物用途部分のみで判断して、その長さや方位を選択するものとする。

出典:非住宅建築物に関する省エネルギー基準に準拠したプログラム「モデル建物法 入力マニュアル」

modelv3_manual_20240401.pdf (lowenergy.jp)

この取り扱いにより、上下階が異なるモデル建物である非空調部分は、非空調コア部となります。

そのため、2階における非空調コア部は以下の図の通りです。

青枠部分の2か所が、非空調コア部となります。

非空調コア部の方位

先ほどの図より、非空調コア部の方位を確認します。

階高はすべての部分で同一であるため、

2階において、非空調コア部の長さを方位別で算定することで方位を確認できます。

  • 北面:8m
  • 西面:5m
  • 南面:3m

このため、非空調コア部の方位は「北」となります。

非空調コア部の長さ

先ほどの図より、非空調コア部の長さを確認します。

2階において、すべの方位の非空調コア部の長さ合計すると長さを確認できます。

  • 北面:8m
  • 西面:5m
  • 南面:3m

このため、非空調コア部の長さは「16m」となります。

まとめ

今回は、非空調コア部の算定方法について、ケーススタディを交えて解説しました。

  • まずは非空調コア部を算定する階を決定する
  • 算定する階は、モデル建物毎に判定する
  • 上下階の存在しない非空調部分は、非空調コア部となる
  • 算定する階における非空調コア部を割り出して方位と長さを算定する

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