空調熱源の台数按分とは?モデル建物法における入力要点を省エネ判定員が解説

モデル建物法を活用した省エネ計算の申請手続きにおいて、

「室内機の能力に応じて台数を按分してください」という、

審査機関からの指摘事項を受けたことはありませんか?

 

この記事を読むと以下の内容について知ることができます。

  • 空調熱源の台数按分が発生する理由
  • 空調熱源の台数按分の方法
  • 空調熱源の台数按分が必要なケース

モデル建物法における空調熱源の台数按分をマスターして、楽に申請手続きを突破しましょう!

 

なお、モデル建物法については、こちらの記事で概要をご確認いただけます。

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非住宅の省エネ計算の方法

空調熱源の台数按分が発生する理由

モデル建物法を活用した省エネ計算において、

空調熱源は「様式C-1 空調熱源入力シート」で入力します。

モデル建物法入力シート_様式C-1

出典:国立研究開発法人 建築研究所「建築物のエネルギー消費性能に関する技術情報」

建築物のエネルギー消費性能に関する技術情報 (kenken.go.jp) 】※5.2 サンプル1

 

空調機の配置や建物の用途によって、「③台数」の入力欄が

「0.54」や「0.26」といった、整数で無い数値になるケースがあります。

 

なぜ、このようなケースが発生するのでしょうか。

理由は2つあります。

  • 1つの室外機で複数のモデル建物の室を空調しているため
  • 1つの室外機の空調対象の中に、評価対象外となる室や用途が含まれているため

複数のモデル建物の室を空調している場合

例えば、以下の図のようなケースが考えられます。

空調按分ケース①

このように、1つの室外機(=空調熱源)が、

複数のモデル建物の室を空調している場合、

空調熱源の台数を按分する必要があります。

 

モデル建物におけるモデル建物の考え方については、

また別の記事でご紹介します。

評価対象外となる室や用途が含まれている場合

例えば、以下の図のようなケースが考えられます。

空調按分ケース②

このように、1つの室外機(=空調熱源)が、

複数の室を空調していて、その内に空調の評価対象外が含まれている場合、

空調熱源の台数を按分する必要があります。

 

空調の評価対象外となる室や用途については、こちらの記事でご確認できます。

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空調熱源とは

空調の台数按分の方法

空調熱源の台数を按分する場合、

「室内機の定格冷房能力」で台数を按分することになります。

 

例えば、以下の表のような室外機と室内機が存在する場合を考えてみましょう。

機種名称 室外機・室内機の区分 台数 定格冷房能力 設置場所
PAC-1 室外機(空調熱源) 1台 14.0 kW 屋外に設置
 PAC-1-1 室内機 1台 6.0 kW 事務室(事務所モデル)
 PAC-1-2 室内機 1台 8.0 kW 売場(小規模物販モデル)

この場合、各モデル建物の評価において、

「様式C-1 空調熱源入力シート」で入力する空調熱源「PAC-1」の台数は、以下のとおりです。

  • 事務所モデル  :約 0.43 台【 6.0 kW / ( 6.0 kW + 8.0 kW ) 】
  • 小規模物販モデル:約 0.57 台【 8.0 kW / ( 6.0 kW + 8.0 kW ) 】

ケーススタディ

これまでの内容を踏まえ、前述の図のケースにおけるケーススタディをしてみましょう。

複数のモデル建物の室を空調している場合

空調按分ケース①

機種名称 室外機・室内機の区分 台数 定格冷房能力 設置場所
PAC-1 室外機(空調熱源) 1台 20.0 kW 屋外に設置
 PAC-1-1 室内機 1台 6.0 kW 事務室(事務所モデル)
 PAC-1-2 室内機 1台 14.0 kW 飲食店(飲食店モデル)

これらの図・表のケースにおける台数按分の結果を考えてみましょう。

この場合、台数按分の結果は以下のとおりです。

  • 事務所モデル:約 0.30 台【 6.0 kW / ( 6.0 kW + 14.0 kW ) 】
  • 飲食店モデル:約 0.70 台【 14.0 kW / ( 6.0 kW + 14.0 kW ) 】

評価対象外となる室や用途が含まれている場合

空調按分ケース②

機種名称 室外機・室内機の区分 台数 定格冷房能力 設置場所
PAC-1 室外機(空調熱源) 1 20.0 kW 屋外に設置
 PAC-1-1 室内機 2 6.0 kW 事務室(事務所モデル)
 PAC-1-2 室内機 1 4.0 kW サーバー室(換気代替の室内機のため、計算対象外)

これらの図・表のケースにおける台数按分の結果を考えてみましょう。

この場合、台数按分の結果は以下のとおりです。

  • 事務所モデル:約 0.75 台【 ( 6.0 kW × 2 台 ) / ( 6.0 kW × 2 台 + 4.0 kW ) 】
  • 計算対象外 :約 0.25 台【 4.0 kW / ( 6.0 kW × 2 台 + 4.0 kW ) 】

まとめ

今回は、モデル建物法で空調熱源の台数を按分する場合について紹介しました。

  • 空調熱源の台数按分をする理由は2つある
  • 1つは「複数のモデル建物に空調する」場合、もう1つは「評価対象外となる室や用途が含まれる場合」
  • 空調熱源の台数按分は、室内機の冷房能力で計算する

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  • 戸建住宅(外皮計算・一次エネ計算):6万円~
  • 共同住宅(外皮計算):5万円~
  • 非住宅(工場・倉庫):4万円~ ※モデル建物法、規模により変動
  • 非住宅(事務所・物販店舗等):6万円~ ※モデル建物法、規模により変動
  • 非住宅(病院・福祉施設等):7万円~ ※モデル建物法、規模により変動

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次回は、モデル建物法における重要な要素である「モデル建物」について解説します。

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