評価対象となる部分・設備とは?省エネ判定員が解説

省エネ計算では法律の主旨やプログラムの設定条件より、

計算上評価対象外となる部分や設備が存在します。

 

この記事を読むと、モデル建物法を活用した省エネ計算において、

評価対象外となる部分や設備について知ることができます。

 

計算内容に大きな影響を及ぼすケースもあります。

評価対象外となる部分についてマスターして

モデル建物法の計算を円滑に進めましょう!

 

評価対象外となる部分

モデル建物法において計算の評価対象外となる部分は、2種類あります。

  • 標準的な使用条件を設定することが困難である部分
  • 常時使用されることが想定されないもの

それぞれ、具体例を挙げます。

 

標準的な使用条件を設定することが困難である部分

  • 工場の生産ライン(物品を製造するための室)
  • 冷凍室、冷蔵室、定温室(室全体を温度管理するものに限る)
  • クリーンルーム(温熱環境や空気室等を高度に制御する必要がある室)
  • 機械式駐車場

 

常時使用されることが想定されないもの

  • 免震、制震設備が設置された室
  • 非常用の発電設備が設置された室

 

これらに該当する部分は、モデル建物法の計算対象から除かれます。

 

モデル建物法で設定された標準的な使用条件に当てはまらないことが、

計算対象外となる主な理由となります。

 

例えば、作業場(≒工場の生産ライン)等、

上記に該当するかどうか不明確な場合もあります。

迷った際は、審査機関に相談されることをお勧めします。

 

評価対象外となる設備

機械室の排熱代替

モデル建物法において計算の評価対象外となる設備は、以下のとおりです。

  • 融雪及び凍結防止のために設置された設備
  • 機械換気設備の排熱を代替する冷房設備
  • 厨房に設置された暖冷房設備(給排気の送風機原動力は評価)
  • 局所換気設備
  • 常時運転されない送風機
  • 避難・救助目的の照明設備
  • 安全性確保のための照明設備
  • 演出性確保のためのカラー照明
  • 給湯栓を有しない給湯設備
  • 雑用水利用のための給湯設備
  • 荷物用エレベーター
  • 売電を伴う太陽光発電設備

抜粋して、実務上で良く出てくる事例を挙げます。

 

機械換気設備の排熱を代替する冷房設備

  • 電気室の排熱を代替するパッケージエアコン
  • サーバー室の排熱を代替するルームエアコン

 

厨房に設置された暖冷房設備

  • 調理室に設置されたパッケージエアコン

 

安全性確保のための照明設備

  • 廊下に設置されている非常用照明
  • 避難口の誘導灯

 

演出性確保のためのカラー照明

  • ショールームにおける展示照明
  • 美術館における演出のための照明
  • 広告灯

 

これらに該当する設備は、モデル建物法において計算の評価対象外となります。

 

評価対象外となる部分と同様、モデル建物法で設定された

標準的な使用条件に当てはまらないことが、計算対象外となる主な理由となります。

 

「カラー照明でないため、ショールームの照明設備だが評価対象となる」等、

設置場所や目的により、評価対象となるケースもあります。

用途は慎重に判断の上、評価対象外となる旨は図書上で明示するようにしましょう。

 

省エネ計算が不要となるケース

建築物全体が評価対象外となり、省エネ計算が不要となるケースがあります。

よくある事例は主に2種類となります。

  • 用途が工場で、建物全体が物品を製造するためのラインとなっている
  • 用途が倉庫で、建物全体が冷凍庫又は冷蔵庫である

このような場合、省エネ計算は不要となります。

 

ここで、注意事項が2つあります。

  • 建物全体が評価対象外と判断される必要がある
  • 省エネ計算が不要であることは、「=省エネ適判が不要」ということではない

これらの注意事項を抑えた上で、計算の要否をご確認ください。

 

例えば、工場の生産ラインを有する建物の一角に、

一定規模の事務所部分(事務室・会議室・更衣室等)が存在する場合、

計算対象部分が存在するとみなされる可能性があります。

迷った際は、審査機関に相談されることをお勧めします。

 

まとめ

今回は、モデル建物法を活用した省エネ計算において、

評価対象外となる部分や設備について解説しました。

  • 標準的な条件を設定できない部分、常時使用されない部分が評価対象外となる
  • 工場の生産ラインや冷蔵庫・冷凍庫等が該当する
  • 設備としては、排熱代替の冷房設備や演出のためのカラー照明等が評価対象外となる
  • 建物全体が評価対象外とみなされると省エネ計算が不要となる
  • 判断に迷うケースも多く、審査機関への相談を推奨される

次回は、評価対象外となる部分や、設備に関するケーススタディを紹介します。

お楽しみに!

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